私の美の世界 森茉莉 新潮文庫

森鴎外の息子、森茉莉さんの、独特の世界観の本。何故か、旅先に持っていくことが多く、イタリアの海岸沿いのホテルに泊まった時に、暴風雨の中眠れぬ夜に読んだ記憶もある。

作者の森茉莉さんは、父親に溺愛されて、特に西洋の最上のものを知り尽くされていたが、生活力には乏しかった。とい話をどこかで読んだりもしたが、その精緻な記述や豪奢な想像の世界に圧倒される。

森鴎外の住んでいたドイツにいるせいか、森鴎外の「舞姫」が二重写しとなり、日本で読んでいた時と別の感慨にふける。「舞姫」も、鴎外が日本に帰国したから美しい話になったのか。

当時は、相当なエリートでないと海外に行くことがなかったと思われるので、海外旅行、いや海外移住も珍しくなくなった今、森親子がいたら、別の物語がうまれるかもしれない。

だれも教えなかった料理のコツ 有元葉子 筑摩書房

日本の母が、私の事を心配しておりおり料理の本や、有元葉子さんの本を送ってくれます。ドイツで日本の食材を集めたり、お料理に苦労している話をしたからでしょうか。ありがたいなと思います。

作ってみるとそんなに難しいものではなくても、子供の頃からの料理に苦手意識というものはなかなか払拭できないものなので、「これでいいんだよね」と安心をするために時々のぞいたりしています。

学校では生活に必要なことって殆ど習わないですよね。お金の事とか、料理の事とか。勿論家庭科という授業はあったけれども、家庭で学ぶことの方が多い。自分の子供たちにお料理を一緒に作る時間を沢山作ろうと改めて思いました。

何故か料理は、レシピを利用しても、そのままの作り方はすぐ忘れてしまうので、何度も繰り返しみています。最もこちらの本は、レシピ本ではなく、それぞれの素材の扱いのこつなどを書いてくださっている本です。

野菜のおかず 飛田和緒 GAKKEN

家族にベジタリアンの人がいるので、野菜のレシピ本があるとつい手に取ってしまいます。あまり上手く野菜のおかずを想像出来ないので、色々な方のアイディアを取り入れています。

殆どの手順が3段階か4段階で終わる、とてもシンプルにまとまった料理本です。それが逆に、野菜のおかずを作ってみようかなと思ってしまう、手に取りやすい本。

ドイツでは手に入りにくい材料もありますが、あっさりとした味付けが、野菜の旨味を感じさせる優しいレシピです。

(ただし、塩辛い味や、沢山のソースをサラダにかけたりするドイツ人には、なかなかその良さが通じにくく、歯がゆい思いをすることもあります。)

うつ消しごはん 藤川徳美 方丈社

ドイツに来てから、そして出産を経てから、軽い不調がなかなか治らないため、いつも色々な本を読んでいます。家族の食事に合わせて(ベジタリアン)たんぱく質が少ないのか、小麦粉が多いのか、気候があわないのか。

兎に角、子供達のために元気でいたいので、どんな種類の本も気になったら食わず嫌いをしないで読むようにしています。

もともと分子栄養学の本を最近は何冊か読んでみたのですが、こちらの先生が仰る、タンパク質、鉄分不足は非常に心当たりがある。(しかも鉄剤を受け付けないのタンパク質不足という事も、心当たりがある。)ので、一通り読んでみました。

矢張りどんなに先生がお書きになっていても、従来の考え方に影響を受けているので、大容量のビタミン剤を飲んだりするのは不安になったりしますが、タンパク質や鉄分をまず多めにとることは実践してみて、少し調子が良くなったと感じています。

栄養不足で、不調を訴えている人が多いとなったらこんなに悲しいことはないと思います。これからのこの分野の考え方の発展方向に注目してみようと思います。まあ楽しく皆だで食べるのも大切ですよね。

 

NEW ELITE ニューエリート ピョートル・フェリックス・グジバチ 大和書房

もしかしたら、今の時代もうある程度本書に書かれていることは頭でわかっている人も沢山いるかもしれない。それであっても、このグジバチ氏の言葉は胸に直接届く、耳を傾けたくなる、そんな本でした。

幼少時代を過ごされた。当時社会主義国のポーランドがガラッと資本主義体制に変わり、時代の荒波の中でご尊兄を亡くされた若い時から、ドイツ、オランダ、アメリカ日本と変遷され今にいたるご体験まで、本当の意味で時代に変遷を体験していらっしゃるからこその言葉かなと感じました。

日本の社会の体制で、まだまだ変わらなところもあり、ドラスティックに生き方を変えることはなかなか難しいかもしれませんが、時代が大きく変革していく中で、もっと大きな目線で個人で対応していくべきことが沢山あると感じました。

私自身、ここの所よく考えて、決断をしたい事柄があり、その内容と非常にリンクしていたので、とても面白かったです。

ジョコビッチの生まれ変わる食事 ノバク・ジョコビッチ 三五館

有名な本ですが、読んでやはり衝撃を受けました。

昔は、著名人が本を書くと、商売かとうがった見方をして読むのを避けたりしていた時期もあったのですが、一流の人が書く本には、どこかに学ぶことがあると思い、最近はなんでも少しでも興味があったら読むようにしています。

本を見ると、付箋がいっぱい貼ってあります。この話は第1章のジョコビッチ選手の生い立ちを読んでいる時点で、なんだか感銘を受けてしまって、本書の重みがぐっと増えました。

ですので、その後の栄養関連の話は何だか丸のみで受け止めてしまった感もあります。でも世界1位ですよ!一度は真面目に受けとってもいいのではないかと、自分の中の批判精神はしまい込んでしまいました。

実は欧州に住むようになってから小麦粉食品には食傷気味。パンや、パスタ、ピザ、お菓子もケーキやクッキー等、もともと得意な方ではないので、食事は本当に苦痛な時もあります。(クリスマス等、代々続くレシピのケーキ等断りづらいシチュエーションが続きます。)

同時に、体調不良も感じていたので、ジョコビッチ選手の小麦遅延アレルギーの話には本当に衝撃を受けました。完全なるアレルギーではないかもしれませんが、何かしらの影響はあるかもしれないと、色々食材を真剣に見直し始めたのは、この本がきっかけかもしれません。

ドイツでは意外にベジタリアンの人が多いのですが、食材のチョイスが少ないという事もあるからかもしれません。(皆さん極端い変わる。)食事の話をするときは、バリエーションの多い日本の食生活が本当に懐かしくなります。

そうはいってもいつも日本に帰るわけにもいかないので、どうにかこうにかドイツにある食材で工夫を凝らしながら自分の料理の腕を上げていくしか、美味しいものを食べるチャンスがありません。糖分摂取の機会も多く、気を付けなければいけないことは沢山あります。

改めて食生活は豊かに楽しく、自分の身体の反応もよく見ながら賢明に、(そして料理の腕をあげて)いきたいなと思いました。

独立国家のつくりかた 坂口恭平 講談社現代新書

 

自分で考えるという事を追求すると

こんな生き方になり、それがまた時代にあっているなと。

何だかとても面白い本でした。

自分で考えながら生きていると、本当に楽しいだろうなと思った私自身は、まだまだ枠の中ですね。何がすごいって、この著者の行動力と、周囲を巻き込む説得力がすごい。

 

1996年に、先輩と国家の制度がなくなり、会社が国境を越えて国の様な新たな役割を果たすかもという議論をしていたことを思いだしました。現在のGoogle等、現実は少しそういう状況い近づいている? 銀行勤務時代も、矢張り1990年代にスタバに支店を開設する案をだしました。上司に話したら即座に却下されましたが、それも何年も後に別の会社が現実にしており、時代が追い付いてきたとかうそぶいているのですが。本当は、アイディアは自分で実現しないと、ただの想像なので、この著者の様に、徹底して実行されている姿勢が本当に素晴らしいと思います。

抱く女 桐野夏生 新潮文庫

私自身が、時代背景をあまり理解したいないことで、作品世界があまりわからなかったのだと思う。同時代に生きた人は青春小説と思うのかな?

ウーマンリブの話も絡めているし、時代背景もあるのだけれども、矢張りこの主人公の生き方があまり好きに思えず、何とか読了しました。著者は露悪的に作品を書く方だからわざとかもしれないけれども、また最近時代が変わって、露悪的悪品もみんな読まなくなってきているのではないかと個人的には思う。

 

書店主フィクリーのものがたり ガブリエル・ゼヴィン 早川書房

書店の本はとても好きなので、読みました。面白かったですが、少しメルヘンチックなお話でした。お話の構成等はよく考えて作ったのだろうなと思うのですが、(なんか映画化を狙ってるのかな?)ドラマ的な作品世界感は少し私自身は好みとは違いました。そもそも、こんなすぐに赤ん坊を育てようと思うかな。とか。ネタバレになるので書けませんが、色々都合よく起こる事があり、文学系というよりもエンターティメント系の話だと思います。(そう思うと面白い)。

色々考えずに物語世界にきちんと入り込めば、よくできたお話だと思うのですが、文体もあまり好きではなく、もしかしたら英語で原書を読んだ方が良いのかもしれません。

現代アートビジネス 小山登美夫 アスキー新書

 

昔の本の再読。美術業界に興味があって読んだのですが、美術業界周辺、特に現代美術周辺の事柄が具体的に詳しく書いてある良書。奈良美智さんや、村上隆さんの展覧会の企画等をされたギャラリストの著者の来し方もわかり非常に面白いです。

欧州のアートメッセ等に足を運ぶこともあるので、展示側の話を聞くのも、今後ギャラリー巡りの参考になります。

一般的にうやむやになっていてわかりにくいこと(ビジネスの側面)をはっきり書かれておられるので、すっきりします。美術業界、美術品、アーティスト等を見る視点が変わるかも。