ルリユールおじさん いせひでこ 講談社出版 文化賞絵本賞

中味を全く知らずに読み始めたのですが、子供達以前に私自身が、心のそこから魅惑されてしまった絵本でした。絵もパリらしい絵で、小さな少女とおじいさんのすばらしい友情を感じられる作品です。

本やそれが取り巻く世界への深い尊敬があるので、この本を読み進めるうちに感動して心が震えました。そんな、時間と空間を丁寧に重ねたような作品が、個人的に思い入れのあるパリの風景の中で広がって、大事な一冊となりました。

本好きの方には、お勧めの絵本です。

「手帳という武器をカバンにしのばせよう」さとうめぐみ KADOKAWA/中経出版 

9月22日付けで更新した、コクヨさんの手帳術と比較すると、こちらの本はタイトルからして熱意があって、とても良かった!最初の導入のイラストもなんだか熱くて、手帳でこれだけ出来る!というテンションに一気に持ち込まれました。

内容は、多分コーチング等の手法も取り入れて構築された手帳術なのですが、早速使いたいことも多く、やる気も出てきて、読んでよかったです。何よりも手帳の使い方というよりも、手帳を使うことによって、新しい習慣をつくる、夢や目標を叶える、同時に自分の時間や休息もつくる、というスタンスが良かったです。

まあ、すべて厳密に自分の手帳に適応させなくても良いと思いますが、色々やりたいことがあっても日常にのまれて自己実現の時間がとれずにいた私には、とても役に立つ内容でした。

日々の生活に振り回されている感覚があると、役に立つ本。

一点だけ、あーと叫びそうになったのは、手帳術って、大体ビジネスや自分の時間がメインで、子供や家族いる設定がされていない!!! 子供がいると、一気に手帳の予定は一冊の中に3人分(子供二人の場合)の予定とかになり、色わけを既にそこでしたい、とか、その3層のパズルのような日常をどうする、とか、自分の時間をキープすると書いてあるけれど、絶対にそれは無理!とかいった状況がでてきてしまうので、その点もう少し管理しやすい手帳術もみてみたい、と新たに考えました。

8月18日にこちらのブログに記載した、あな吉さんの本が主婦や兼業主婦向きかと思い電子本を買ったところ、ついうっかり間違えて手帳でカウンセリングするという本だったので、もう一度あな吉さんの別の本をトライしてみてこちらの手帳術のエッセンスと混ぜて利用していけるか、確認してみようと思います。

再読必須!

「たった1分ですっきりまとまるコクヨのシンプルノート術」 コクヨ株式会社 KADOKAWA/中経出版

文房具が大好き。文房具会社に入ることを一瞬考えたこともある。というわけで、文房具本や、ノートには目がない。その文房具会社社員のノートの使い方の本ということで、すっかり期待したのだが、期待はずででした。残念。

一つには、コクヨ社員の方の100通りのノートの使い方、と前書きに書いてあったのですが、本当にそれだけ、という印象です。色々わくわくするような使い方を期待したのですが、100通り取り合えず並べた状態で、普段から手帳術等興味を持って色々読んでいる身としては、物足りない内容でした。普通に使っている手帳をそのままこんな使い方をしています、と見せられてもあまりわくわくしない、、、。沢山の事例のなかから選りすぐりの、といった感じもあまりないものでした。

このブログを記載するにあたって、実用品に関しては、やっぱり都度読んだ本から学んだこと、これから使えることをリストアップして、後から振り返るようにしようと思っています。今回は、大体既知の利用法ばかりだったので、新しい発見は以下の通り。(あくまで私が今まで読んだことや、聞いたことのない使い方で、そんなに珍しいものではないと思います、、、、)

-ノートの右端に内容を記載したサイドインデックスををつける。(013)

うーん、やっぱりそのくらいかも、笑。あまりにも普通なノートの使い方のそのままの使い方の本でした。せめて他の人の鞄の中をみる、手帳の中を見る、みたいなワクワク感があればいいのですが、皆さんあっさりしたもので、それもありませんでした。もしかして、これは会社で本をまとめたのが敗因だったかも!

多分ほぼ日手帳の本か、ウェブサイトを読んだほうがずっと楽しいかも。

PYGMALION director Tom Wright / The English theatre Frankfurt

http://www.english-theatre.de/pygmalion-2/

「ピグマリオン」良かったです。ドイツはフランクフルトに英語で劇を上映する劇場があるのはずっと知っていたのですが、この度初めて行きました。劇場も思っていたよりずっと綺麗で、舞台もよく驚きました。(なぜならフランクフルトで上映される現代オペラ等に散々ぎょっとさせられてきていたので。)

主演の女優さんは、姿形はこちらの話できたいするような見掛けの方ではなかったのですが、まあよく、ヒギンズ教授は、その偏屈ぶりなど非常によく演じられていたと思います。

私はちょっと英語に問題があるので、全て完全に理解できたわけではないのですが、(もともと話は知っていたので)、前半はテンポよく物凄く笑い、後半の皮肉な展開に社会問題や、人間を考える、見たいな感じでした。

なんというか、本当に英語のしゃべり方で階級が分かる、見たいなことを良くききますが、生まれる場所を人間は選べないから本当に不公平だと思います。が逆にそのしゃべり方や振る舞いを学んだイライザが、ヒギンズ教授から飛びたってしまう瞬間もまた皮肉なもの。でも状況が違っても、手塩にかけて育てた部下が、上司を乗り越えていくみたいなビジネス劇の設定でもなんか再構成できるかも、なんて思いながら見ていたものでした。

結構好評らしく新聞の批評欄にもでているので、記録としてリンクを添付します。

Frankfurter Rundschau http://www.fr.de/kultur/theater/pygmalion-not-bloody-likely-a-1344409

Frankfurter Neue Presse http://www.fnp.de/nachrichten/kultur/Schnoddrig-laut-und-temperamentvoll;art679,2756982

 

 

 

David Lynch: The Art Life (2016)  Jon Nguyen、Rick Barnes、 Olivia Neergaard-Holm

http://David Lynch: The Art Life (2016)

「ツイン・ピークス」等の監督で有名なデビット・リンチ監督のアートライフのドキュメンタリー映画。映画監督で有名な人だが、その作品も高く評価されている。その、アート一筋の生活をドキュメンタリーのカメラが迫る好作品。

映画を見るだけで、本当に必要に迫られて作品を作り続けているというのがひしひしと伝わってくる。また、その職人といっても良い手の動き、制作過程を見ていて、本物のアーティストだなと思いました。

とはいえ、こんなに才能も努力も時間も費やすなら、私なら他の作品を作りたい!と叫びたくなるほど、彼の作品表現はなんと言うか人間の暗部に迫る。実の父親が彼のアトリエを訪れた時に、「『子供はつくるな』と言われた。父には私の表現方法がわからなかった」と、笑う姿が印象的でした。(その直後に子供ができている。)親が子供のことを病んでいるのではないか、と思うほど差し迫った表現であると言うところが本当にすごいと思う。

実は、2007年にパリのカルティエ現代美術財団で開催されたデビット・リンチのドローイング等が展示されている展覧会を見に行ったことがあるのですが(もうそんな昔とは!ものすごく大盛況だったのです。)その時に、私は彼の実の父のようにすっかり騙されてというか、本当に病んでいる人かも、なんて思いながら作品をみていました。

今回の彼の実父に対するコメントをよんで、やっぱり本当に病んでいる人と、それを表現する人とは、近いようで、程遠い。また、表現をするということに対しての激しい自覚に驚愕しました。

ミケランジェロ等、本当のすごいアーティストのドローイング等を見ると、線一本をとっても、そこにどうしてもなければならないと言うような、逼迫した存在感を感じるのですが、デビット・リンチの作品も、なんだかそこに人が存在するような、絵ではない、すごい迫力を感じる作品で、好きではないですが、とてもショックを受けたのを覚えています。

ですので、今回の映画を見たときは、なんだかものすごい納得感がありました。毎日毎日ひたすら作り続けている、その年輪が刻まれている。何だか目をそらしたいけれど目をそらせないようなすごい存在感を発する作品が出来上がる過程を見るのがとても面白かった。

ご本人の声も、姿形も作品と同じようにものすごい存在感があるので、ドキュメンタリー自体が、もしくはそれに映写されている彼自体が、彼の映画みたいでした。

それにしても、こんなに才能と技術があったら、私ならば他のものを作りたい、、、と何度思ったことか。(そしてそんなののだときっと芸術は成立しないんだよね)久しぶりに人間の精神のほの暗い深い深い底を覗くような作品に出会いました。

為参考リンク http://www.hikarie8.com/artgallery/2012/04/post-1.shtml

https://www.fondationcartier.com/#/en/art-contemporain/55/publications/289/publications/160/david-lynch-works-on-paper-limited-edition/