Tschechischer Philharmonischer Chor & Philharmonie Brünn / Leoš Svárovský

 これは大当たり。
 80年ぶりにフランクフルトのオペラ座で初めて演奏されたCarma Buranaが、再演されたコンサート。素晴らしいの一言でした。
指揮者の方も始めて拝見したのですが、どんな音楽が作りたいのか、明確にわかり、それにオーケストラもコーラスもばっちりとついていって、音楽も素晴らしいですが、なんと表現すればよいのか、エンターテイメント性が高く、どんな人でも色々な角度から楽しめそうで、完成度の高いコンサートでした。曲の選択もやはり、観客に喜ばれそうなものを目玉のCarma Buranaに当ててきており、構成もまとまっており、拍手が本当に長く続きました。ラテン語や、古代ドイツ語の歌詞などのつく、この歌曲の成り立ちも個人的には、面白かった。クラッシックのコンサートで、心に偽りもなく良かった!と思ったのは久しぶりでした。

Tschechischer Philharmonischer Chor & Philharmonie Brünn
Leoš Svárovský

曲目
Alexander Borodin (1833-1887)
“Poloqwtywe Tänz” aus “Fürst Igor (12`)

Antonín Dvořák (1841-1904)
Slawische Tänze op. 46 und 72

Carl Orff (1895-1982)
Carmina Burana (65`)
Fortuna Imperatrix Mundi
Primo vere
Uf dem Anger
In taberna
Cour dàmours
Blaziflor et Helena
Fortuna Imperatrix Mundi

チム、ジンジャーをたすける エドワード・アーディゾーニ 福音館書店

ここのところ(親が)気に入って、何冊かシリーズで読んでいる本。親が気に入って読んでいますが、子供たちも、すぐチムの名前を覚えて、同じシリーズの他の本を読んだときは、3歳児も、「これ、チムね」と自分の友人の様に話の中に入っていきました。海の厳しい自然の中で、子供用の絵本にしては少しリアルな現実がかかれていて、少年の心の持ちようが、人間らしい強さにフォーカスされているのがなんともいえない。勉強とか、これを習えば子供の将来に役に立つといった情報も氾濫しているが、人として一本筋が通っていて、大人とも1対1の人間同士で付き合っていくチムの姿が新鮮。

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 講談社

とにかく長かった。面白かったけれども。きっと同じ作者の作品を3連続で読んだのが悪かったのだろう。最後はこういう展開になるというのを分かっていて、最後までじりじりしながら読むという展開でした。前回に2作品よりも、作者の凄さがよくわかる作品だったと思う。話の構成とかもだけれども、現実で起こりえそうな事態を、事細かに目に浮かぶように書き上げるその力量がものすごいということが、(前回の2冊の本の感想で、ネタがごろごろあるのをそのまま書いているみたいで、という話を書いていたが)この細部まで物語を立ち上げられる筆力が尋常ではないということがよく証明される作品でした。現実もそういうことあるよな、と思いながら読むから面白いのだけれども、その分、長く感じたのだろう。主人公の明けるともわからない暗闇を共に歩くような感じで悪くはないのだが。

半分以上、溜めて溜めて書き続けて、最後に予想通りの展開で物語切り替わってゆくところが面白いのではあるのだけれども、個人的には、被害者の夫との交流とか、もう少し読みたかったなと思う。後、一人だけ沢田の人物描写だけは少し物語りに合わせる様に都合よく書かれているような気がして物足りなかった。きっとサラリーマンの組織の論理での苦悩とか、自分の夢を叶える為の組織内での取引とか書きたかったのだと思うけれど、栄転先で起こる事態を想像できないような人物ではないだろう、と読みながら悪態?をついてしまいました。沢田のキャラクターであれば、必ずその先の事態を想定できたはず、と思うのだが、急に純情なお兄さんみたいになってしまって、びっくりしてしまいました。

新装版 銀行総務特命 池井戸潤 講談社

池井戸作品、三作品を続けて読んでいる。その第2弾。先の「新装版 不祥事」と比較すると、内容が重い、暗い、救いがない。最初は軽い話から始まって、段々出口のないリアルな嫌な話が詰まっているという感じ。自分が銀行に勤めていたからかも知れないが、最初は面白く、いや、最後まで面白く読みはしたが、読んでいて居た堪れなくなるような気分で、読後感が悪かった。お話として読めれば面白いのだろうけれど、以外にリアル。なので、いつも池井戸作品を読んでいて、これ作品にしていいのかな。これで売れていいのかな。と少し思ってしまう気持ちが、この作品では更に強くなった。作品を書くのは簡単なことではないのは勿論理解しているつもりだけれども、話の殆どの骨格が、ほぼ現実に転がっているリアルだとすると、それをネタにしていいのかな、と少し思ってしまう、、、。きっと銀行員だったら誰もが経験しているような話とか、聞いたような話とかばかりなのだと思う。リアルがこうならば、わざわざ話を読んで暗くなる必要はないかも。

新装版 不祥事 池井戸潤 講談社

 池井戸作品は面白い。多分それは銀行で起こる現実が面白いからだ。銀行に勤めた人ならば、そこで目にしたことをそのまま作品にしたのではないかと思う。フィクションだから守秘義務があっても事実は書いていないし、でもネタは現実に転がっているという感じ。池井戸作品は、現実を再現する力がすごくて、話の構成が面白いのだと思う。

 現実のネタをフィクションとして使い、そこに物語として、出世競争や、理想と現実、人間性と金銭が絡む非道さとか、色々面白い味付けがされて作品が出来上がってきている。物語のつくりがそのオリジナルのアイディアの部分のままという感じの部分もある。市井の人は正直でまっすぐで、銀行員やエリートは偉そうにしているけれど、人間性がないという構図が多いのが気になる。なんとなく粗いといったイメージもあるが、面白く読めた。不祥事の話だから興味本位で、まだ銀行ネタでも、酷く内容が重くないから気楽に読めた。