としょかんライオン(海外秀作絵本17) ミシェル・ヌードセン ケビン・ホークス (イラスト) 福本友美子(翻訳)岩崎書店 

 この絵本を手にしたとたんに、すっかり好きになり、子供に読み聞かせました。多分子供より、親の私の方が好きかもしれません、笑。
 
 お話の筋よりも、ひたすらに図書館とそこにいる人達が大好きなライオンが、最初は驚かれながらも受け入れられて、ゆったりと佇む姿がとても好きです。あたたかそうなライオンに凭れて、私も朗読会に参加したい。その静かな雰囲気と、友達のために、静かに相手を思うライオンの行動が、心にゆっくりと染み入ります。子供には、もう少し大きくなってからもう一度読んでみようかと思います。

目標達成ノート 原田隆史・監修 JAPANセルフマネジメント協会 ディスカバー・トゥエンティワン

この本、もう大好きです。とはいえ、半分はノートなのですが、(そのノートの内容はアマゾン(こちらの本の写真をクリックしたらアマゾンストアに自動的に誘導されます。)に写真でています。

しかしながら、このコーチングの内容が素晴らしい。他にも色々ビジネスのモチベーションアップや目標の立て方などの本をちらちらと読んでいますが、この本ほど良い!と思ったものは今のところありません。それに、今まで疑問に思っていたことが解決しました。

今までの多くのビジネス本を読んで疑問に思っていたのが、幾つかの本は、読むと明らかにどっと疲れる、ということでした。その違いはいつも何なのかと考えていたのですが、この本(というかノートを読んで明らかになりました。)

目標を達成するのに、何よりも人格が大切ということで、その人格をはぐくみ、真の自信を生み出すために、このノートが存在しているということです。そして人格の成長を伴う目標計画は、必ず実現するということ。

多くの本で、息苦しくなったのは、この人間の成長という部分が無視されていて、常にビジネスの必達の目標などといったものばかり書いてあるものです。やはり、最終的には人と人のつながり。また仕事の目標や、その他の目標も、結果的には、良い人生をおくる、ということに繋がるので、この本を監修されている原田コーチのもとで、学生達が大きな成長を遂げたのが本当に納得がいきました。

そしてそういう明るい人生を豊かな目標設定ができるようになると、人生に投げやりにならずに、成長していくことができるという、よく理解でき、本当に素晴らしい本だと思いました。早速実践します。

 

3月のライオン・前編(映画) 監督・大友啓史監督 主演・神木隆之介 配給・東宝、アミックスエース

3月のライオン

飛行機に乗っている時に、全くの前知識なく見ました。漫画の原作があることも、将棋がテーマの映画だということも、前編後編に分かれていることも知らずにみたのですが、あっという間に時間が過ぎていきました。前知識なく映画を見るのは久しぶりでしたが、暫く、この感じを忘れていたな。物語を楽しむってこんな感じだったなと思いました。最近は、プロモーションやらインターネット等、貴重な時間で損をしないようにばかり考えて作品を見ていたような気がするので、はっとしました。

主演の神木隆之介さんの雰囲気にどんどん吸い込まれていきました。ストーリーも引き込まれましたが、孤独だけれども、優しくて強い、逃げ場がないなかで逃げずに闘う芯の強さも演じられていて、共感しまくりました。

中でもこの映画で楽しかったのは、棋士を演じる俳優さんたちの怪演、顔芸、もう素晴らしくって、まじめなシーンで思わず笑いそうになったりしてしまいました。飛行機の中だったので辛かった、笑。前編だけでも、厳しい闘いの様子が味わえてとても楽しかったです。お勧め。

時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS シェーン・スノウ 講談社

これは、、、何というか、Lifeshift とか、その手の本の系統。著者の経歴は面白く、この経歴が、本作にでてくる実例の裏打ちとなるとは思う。フィンランドの教育制度とか、今現在では既に有名になって聞いている内容も多い。文系っぽいビジネスの本。参考になる記述も沢山ある。が、きっと、最近では皆気がついていることでもある。SMARTCUTSという切り口にここに出ている実例を全て集約できるのかはちょっと疑問に思いました。現場を知る人だけに、ちょっと実例が多すぎて、読んでいると気が散るというか、少し疲れたかもしれません。

とはいえ、SMARTCUTSという発想は、今の時代の切り口として必要なものだと思います。なぜなら時代が変わっており、この方法で世に出た人が既に沢山いるから。日本の様に伝統的な慣習や、世間の圧が強くなかなか、発想することすら自由に出来ないお国柄では、この概念が認知されるのは良いことだと思う。ただし、一度概念をとりいれたら、何度も読まなくても良いとも思う。SMARTCUTSとショートカットは違うということも重要な指摘であります。

多分、私が翻訳調のビジネス本が苦手なので、少し読み方がきつくなっているかもしれません。コンピュータを例に、プラットフォームや、SMARTCUTSを説明した箇所は、わかりやすく理解が出来ました。

以下引用「『ショートカット』という言葉もあるがちょっと違う。(中略)ショートカットは単なる近道。『スマートカット』とは、本来時間をとられるべきではないところをスマートに、つまり賢く回避しながら、力をいれるべきところに力を入れて大きな目的を達成する技だ。」

 

 

<個人的に良くも悪くも、気になった箇所>

・「ライバルがひしめく『メジャーな場所』で実績をつくり、自分に箔をつける。」(言葉の表現が嫌いですが、何かを目指すなら、そのベストなものが集まっている場所に行くべきだと私も思います。)

・「一つの階段を途中まで上ったら、キャリアを変えて別の階段を駆け上がる。」(本当に実力がついていれば、キャリアを変えるときの効果がでる。)

・「自分の失敗でも他人の失敗でも、失敗を分析し、次のチャレンジに役立てる。」(これは今並行読みしているコーチング系の本にも出ている。兎に角失敗からも学ぶことが大切。「誰にでも、ネガティブなフィードバックをもらったとき、「ああ僕はダメだ」と人格否定として受けとめる脳内スイッチがある。それをパチンときってしまう術を覚えるのだ。」「ネガティブなフィードバックをもら」っても折れない。)

・学校でも職場でも「現状維持の天才」はいる。だが、ただその場にとどまっていることと、計画的に無駄な動きを最小限に抑えながら何かを学びとったり、上を目指したりすることは全く別物だ。(中略)ハイネマイヤー・ハンソンは、このコンセプトで退屈な科目を楽々とやり過ごした。やがて余った時間を、ウェブサイト制作技術の習得など自分にとって大切な作業に充てるようになると、めきめきと腕を上げたのである。

・「ダイソンによれば、米国の学校教育は、でこぼこの野原での運転技術ばかり指導し、ハイウェイの走り方を教えないようなものだという。最大の原因は暗記重視の教育にある。ほんとうに必要なのは、数学という道具の使い方を教えることだ。」

・「今はぷラットフォームの時代だ。計算能力よりも、独創性豊かな問題解決策を編み出すことのほうがずっと意味があるのだ。つまりプラットフォームを活用すれば、1から基礎を身につけるよりも早く基礎をマスターできるのだ。(中略)今の子どもたちなら九九ではなく、エクセルが使えるようになったほうがいい。全ての科目を隅から隅まで教えるよりも、プラットフォームの使い方を最初に教え、あとは本人が興味を持った分野を深堀させるほうが効果的だ。(中略)一方、プラットフォームの利点を徹底的に生かした教育制度を築いているのが、フィンランドなのだ。」

・グーグルには、社員が勤務時間の20%を自分のプロジェクトに充てる独自の勤務ルールがある。この『20%ルール』で生まれた新たなアイデアを形にしていた。20%タイムは、グーグルが独自に編み出した制度ではない。スコッチテープや、ポストイットなどでおなじみの3Mが考案した『15%』ルールの二番煎じだ。元祖である3Mの場合、勤務時間の15%を自分のアイデアの実験などに充てられるようになっている。そこから生まれたのがポストイットだ。(中略)こうした制度の根底にあるのは、(中略)いつビッグウェーブが来てもいいように、おもしろそうな海には足を突っ込んでおくのだ。このように最初から時間を割り当て済みの実験であれば、本業が圧迫されることもないし、新参起業にみすみすビッグウェーブを横取りされることもない。(中略)同業他社の成長が頭打ちになる中、依然として輝きを失っていない。」

・「成功になかなかたどり着けない原因の1つは、『ノー』と言えないことだ。過去のしがらみを断ち切れないのだ。これまで何度となく吊り輪渡りの例をだしているが、今自分がつかんでいる吊り輪から手を放さなければ、次の吊り輪に飛び移ることはできないし、勢いは途絶えてしまう。ラムはその弱みを捨て去り、シンプルに考えることで、しがらみや制約から解き放たれ、もっといい環境に飛び移ることができたのである。」

・地道な観察で、「運に出会えそうな場所」を探し、タイミングよく駆けつける。

・本業でなくても、「何かありそうなこと」には、とりあえず足を突っ込む。

・「だが、ホームズは知っておくべき点には全力を傾け、自分に欠けていた情報を明らかにするにはどうすればいいのか知恵を絞ったものの、それ以外は忘れ去る努力をした。だからこそ、超一流になれたのだ。シンプル化といえば、ハッカーは生活から不必要なものをなくす習慣がある。ほんとうに大切かどうかで選別するからだ。イノベーターも余計な飾りはばっさりとそぎ落とす強い意志がある。」

・「『食べ物や着るものであれこれ意思決定したくない』と言うが、だからといって政権運営が向上するのか。いろいろな楽しみを持つことは生活のアクセントにならないのか。独創性は無意味なのか。たまにはバーッとやりたくないのだろうか。こうした考え方については、ミネソタ大学のキャスリーン・ボーンズ教授の実験で証明されている。小さな判断がいくつも重なると、その後の自制心がなくなることが判明したのだ。(中略)だから、多忙な人物や有力者は、邪念を取り払う瞑想を好み、かっちりとした日課にこだわるのである。こうすれば余計なことに気を取られることなく、重要な意思決定で力を発揮できるからだ。」

「天才や大統領は、無意味な選択作業を生活から徹底的に排除している。生活をシンプル化し、思索の時間を確保する。発明家や起業家は『この製品はもっとシンプルにならないか』といっていつも自問自答している。そうやってたどり着いた答えは、単なる『良い製品』ではなく、『驚異的な製品』になる。その証拠に、ステーブ・ジョブズはシンプルであることを、『究極まで洗練された状態』と表現した。」

・まず徹底的にムダを省き、低コスト、少人数で大きなことが出来る方法を考える。

・「10倍思考を実行する。(中略)男の名はイーロン・マスク。南アフリカ出身。Tシャツにジーンズというラフな姿で指示を飛ばす。いまや伝説の億万長者だ。(中略)NASAが膨大な数の職員をもってしてもできないことを、小さなチームで成し遂げる。これがマスクのビジョンだった。(中略)これだけの壮大なビジョンを支援してもらうためには、自分自身がスポットライトを浴びる必要があることはわかっていた。人々の信頼を得なくてはならない。そこでマスクは話術を磨き、常に、『人類の未来のため』という枕詞をつけて語り続けてきた。(中略)イーロン・マスクを一流に押し上げたスマートカットがある。それが、『10倍思考法』だ。(中略)並外れた次元で物事を考える姿勢である。10倍思考法で有名なのは、アストロ・テラーだろう。さまざまな最先端プロジェクトを手がけるグーグルの研究部門『グーグル X』の所長で、人工知能分野の博士号を持っている。エンジニアだらけの組織に雅ツンと衝撃を与える刺激役として招かれた。彼の仕事を一言で言えば『でかい夢』を語ることだ。(中略)その秘訣を尋ねると、不思議な答えが返ってきた。『10%改善するよりも、10倍いいものを作るほうが簡単なんですよ。(中略)ほんとうに大きな改良は、何らかの方法で最初から作り上げる必要があります。常識となっている前提を捨てさらなければなりません。(中略)逆に言えば、10倍の目標を掲げれば、否が応でもスマートカットを繰り出さざるを得ないのだ。『まず不安を捨てる。知についてオープンで誠実な姿勢を持ち、新しいことに独創性と情熱をもって挑戦する。結果は真正面から受け入れる。こういうことができたら、10%の改善のときと同じ時間、同じ人材でも、本当にすごい解決策にたどり着きますよ』とテラーは語る。イーロン・マスクはこれを、『原点をみつけた状態』と言う。(中略)今、多くの企業が掲げる”イノベーション”は、往々にして『もっと速い馬』を血眼になって探しているに過ぎない。自動車を創造するという発想がないのだ。原点がみつかれば、通念から解放される。『苦しい努力をしなくても、適切な見方にたどり着ける』とテラーは言う。『例えば林でアーチェリーをやっていても機が邪魔で向こうに届きません。手当たり次第に矢を射る人もいるでしょう。デモ一番いいのは、自分自身が動き回って、向こうまで見通せる地点を探すことです。力任せで時間を無駄に使うより、問題の枠組みを作り直せばいいのです。そのためには勇気と独創性が必要です。』」

・「高い理念や目標を掲げる有力ブランドについて株価の動きを10年にわたって調べたところ、非常に興味深い事実が浮かびあがった。利益追求にとどまらず、崇高な目的を掲げるブランドは、S&P500(米国の代表的な500銘柄の株価を基に算出している株価指数)よりも大幅に高い株価を実現している。(中略)この理想的な銘柄は、いわば『低いところの果実』としての利益のみならず、『高いところの果実』を目指す目的をもっていたことになる。なぜか。何よりもまず人間は、崇高な理想や大きな目的に共感しやすい点が挙げられる。だから客も投資家も口コミも集まりやすいのだ。ただ大風呂敷を広げれば、人々がついてきたり、実現したりするとは限らない。単にまっとうな大義名分を振りかざしても、支持は得られない。人々のモチベーションを高める必要があるのだ。(中略)人類を月面におくると高らかに宣言したケネディ大統領しかり。(中略)不可能と思われるゴールに敢然と立ち向かった。だから(中略)人類は月面に降り立ったのだ。皆、スマートな仕事の仕方を心得ている。自分に信じた道を熱く語る。イーロン。マスクなら『最初の一歩は、何でもいいから実現できることを示すのだ。そうすれば見込みありと見なされる。』と語る。」

・「幸福感を得るために、『大きいもの、いいもの』をめざす必要はない。前進を続ければいいのだ。」

・9つの鉄則「鉄則1:ラダー(成功の階段)をハックする。」「鉄則2:メンターとともにトレーニングを積む」「鉄則3:迅速なフィードバックで最適化する」「鉄則4:プラットフォームを活用する」「鉄則5:波を見つけて波に乗る」「鉄則6:スーパーコネクターを見つけ、自らもスーパーコネクターになる。」「鉄則7:成功の連鎖をつくる」「鉄則8:シンプルを極める」「鉄則9:10倍速思考を実行する」

 

情報を活かす力 池上彰 PHPビジネス新書

 前回の読書に引き続き、情報を活用する方法の模索。池上氏の著書の最大の特徴は、庶民の味方という雰囲気。読みやすさ、わかりやすさ、親しみやすさ。かといって、情報量が少ないわけではないと、個人的には思っています。但し、分かりやすさの背景に省略されているものもあると思うので、興味がある事柄は、更に深堀りしていく必要はあると思う。色々な分野の概要を知る、もしくは、取っ掛かりとして手に取るには良いと思います。ビジネス本は、高邁だったり、専門的過ぎて、分かる人にわかればいい、という雰囲気のあるなか、池上氏の、徹底的な読者に寄り添った姿勢が何よりも人気の秘密なのだと思います。そこが、伝える力を徹底的に鍛えられた池上氏の魅力であり、今回の著書にも活かされている点だと思います。

 前置きが長くなってしまいましたが、本の内容に関しは、情報収集に関しては、今までのやり方で、大丈夫そうという安心をえました。要するに、多分誰もがしているような方法だと思います。但し、プロのそれは、徹底しているということがわかります。愚直な作業の積み重ね。

 具体的な情報源を記載されているのが親切。

 ノート術等を読んでも思いますが、こういうのは、一つのやり方を見つけたら、兎に角続けることが本当に重要だと思います。ある時期から、蓄積されたものに価値が出てきて、急速に利用価値が上がる、もしくは基本的な地図が出来上がった時点で、物事の理解が格段に拡がると思うので、複雑な方法でなくてもいいから、途中で迷いがでても、続ける意義があると、この本を読むことによって、改めて実感できたのが収穫でした。特に、「問題意識をもつ」ことにより情報が集まってくる。「何事も基本をおさえる。(その為に、読書で下地をつくる。)」そのことによって、情報の理解が深まる。「そのジャンルの『定本』を見つける。」等はいつも感じていることでしたので、腑に落ちました。

 一つ面白いのが、幾つかの本を並行して読んでいると、同じことを述べている人がいるということです。それは、それぞれがそれぞれ参照にしているのかもしれませんが、結果的にそこに行き着くということもあるかもしれません。今回、「本を並べ替えること」が、前回読んだ、「読書を仕事につなげる技術」と同じアイディアであること。(もしかしたら定本を見つけるというのも同じ発想。)等、極めていくとわかる、基本的なこともあるのかもしれません。

 ただし、本著を読んだ最大の目的は、まさにタイトルにある情報活用術。私の様に、ただインプットが好きで続けているうちに、インプットしても活用できないという問題にぶち当たる人はあまりいないのではないかと推測するので、(通常はきっと、ビジネスをしっかりと持っていて、それに伴い情報を収集していると思われますので)。やはり最後には、情報の活用方法は、どのような仕事をするか、どのような仕事を作っていくかという問題に直結していきます。池上氏の場合は、ジャーナリストですから、知ることは、既にビジネスに直結しています。ですので、ジャーナリスト以外の方が、どの様に情報を活用するかという意味で本書を読み進めたら、あまり答えはないかもしれません。

 むしろこの本の、もっとも良い部分は、情報整理術の箇所と、情報発信術(というよりも、発信するための文章術)の箇所だと思います。長年ジャーナリストとして活躍されたかたの基本的な姿勢がわかり、この箇所は読むと簡単そうですが、経験値のある方が書いていらっしゃるので、説得力がありました。

 そう、この本は全般的に好きでしたが、それは本の内容ではなく、きっと多くの人が感じているであろう、池上氏の読者に対する尊重の念が理由かもしれません。

 長年の取材や、実態のある生活人たちに触れている経験に裏打ちされているもの、テレビでの仕事における、発信することのことの大きさを理解していること、が人気の秘密なのだと思います。個人的には、本屋がとっても好きという箇所に、一番共感しました。

以下、個人的に役に立った情報
・「日々ニュースに接している時に自分の中にわいた、『なぜ』『どうして』という素朴な疑問を大切にする。」(その後、実際に調べる)
・「『自分の頭で考える時間』を意図的につくる。(反応が良くないときは、伝え方が悪いケースがある。)
・「自分に基礎知識のない分野で、これから注目を集めそうなテーマが出てきたときは必ず読書で下地をつくる。」
・「何事も、基本を押さえておけば、後の理解は楽になる。」
・「面白い本を読んだら、その面白さを人に説明してみよう。(ただし面白いという言葉は禁句。)」
・「読んでいる途中でも、『この部分をどう説明しようか』とアウトプットを意識しながら」
・「日米の情報感度の違い」の項目全体の内容。情報感度の違いが実際にどのような結果を産んだかの分かりやすい説明。
・「統計データ」の見方の注意。
・文章の書き方、プレゼン方法の全般。
・「誰に伝えようとしているのかを明確にする」
・「大きな数字は、身近な数字に置き換えてみよう」

 

外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術 山口周 KADOKAWA/中経出版

思えば数年前に本田直之氏の「レバレッジ・リーディング」を読んでから、読書術の本を幾つか読むようになりました。現在の仕事の現状が変わらない中、インプットはいつもしているけれど、一体何の為にしているのか、わからなくなるほど、現状が変わらない。というジレンマで、インプットしたものの、アウトプット、もしくは仕事への活用方法をひたすら考えるようになったのです。

実は、昔はいわゆる文学や教養系の本ばかり読んで、ビジネス本にはあえて距離感をとっていたのですが、今思えばなんと頑なな、視野の狭い姿勢だったのだろうと思います。若い頃に、もっと真剣にビジネス本を読んでいれば、より戦略的に生きられたのではないかとも思います。

同時に、文学や芸術が好きなのですが、そういったものと、ビジネスの世界と共存できないのが、その二つの世界がいつもパラレルで、結びつけられないのが、はがゆいという心境です。

こちらの本も、そんな、インプットを何とか仕事に生かしていける方法がないかという葛藤から読み始めました。基本的にはリベラル・アーツの本も薦められてはおりますが、ビジネスの世界において知的武装をするための読書術ととらえられる本です。まあ、20代で読めればよかったかな。今読んでも人生や仕事に影響を与えるには手遅れ的な件もチラホラみうけられました。

まあ、大量の新刊を読むよりは、古典の良書を読む。但しただの読み方ではなく、隅々まで精読する。というのは、ここ何年も語学の勉強が必須な中、数々の語学勉強本を買っても、結局一冊を深く勉強したほうがよい。(要するに一冊もきちんと理解しきれていない。)という結論に至っていたので、共感できました。

ついつリベラル・アーツ系の読書観に偏り勝ちな私自身の考えと、作者の意見が違う箇所もあるのですが、ビジネスのための読書術という点では作者はプロなので、色々素直に実行できるところは早速取り入れていきたいと思います。確かに本当に知的生産をする場合は、効率化も必要で、どれだけ生産性をあげるかという所が重要だと思うので、知的生産のために読む場合は、読み方が全て変わってくる、ということ自体がこの本から得た学びかもしれません。逆に言うと、ちょっと実行してやめては意味がない、長年の蓄積がいつかその人らしい知的生産の礎となるのだろうなと感じました。

作者の紹介する「ビジネス書マンダラ」は、早速参考にさせていただきたいと思います。若い頃からまじめに考えている方だったら、結構この中の本も読んでいらっしゃるだろうなというチョイスなのですが、私自身は、ビジネス書経験値が低いので、これから精読したいと思います。色々と勉強させていただきました。ありがとうございます。

ネコのホレイショ エリナー・クライマー こぐま社

色々な場所から借りてきた絵本が、家の中に今何冊かあるのですが、その中から特にこれを読んで欲しいと子供が持ってきた本です。やはり小さい子供には、動物が主人公の作品は魅力的みたいですね。

しかしながら、飼い猫もしくは飼われている動物が怒って家を飛び出して、世間の厳しさを知った後、もどってきて飼い主と前よりもより強く結ばれるというパターンの作品が西洋に多いこと。子供の本でもこの本以外に猫、豚と同じパターンの作品を既に、ここ暫くで少なくとも2冊は読んでいます。

これは西洋の物語のパターンなのでしょうか。日本の昔話も、一寸法師や桃太郎など、旅にでて一回り大きくなって戻ってくるというパターンのお話が幾つもあったりするので、西洋世界を構築する一つのフォーマットなのかもしれません。よく考えたら、新約聖書の放蕩息子のたとえ話も同じようなフォーマットといえるかもしれません。

子供の頃にこういった物語の原型を取り入れていっているうちに、それが人間形成につながっていくと思うと、子供の頃に触れるものというのは、本当に重要だと空恐ろしくなってきます。また、私が子供時代の頃とちがって、こうやって色々な国の物語に触れている子供たちが将来、人生でどのような物語をつむいでいくのか、全く新しい時代となっているのだなという気がします。

あらゆる文明が混沌と混ざり合ったり、ぶつかり合ったりしている現在、子供の絵本の世界でも融和の原型ともなるような物語が沢山生まれてくるといいなと思います。

「凍りのくじら」 辻村深月 講談社文庫

 読んでいる間は、ぐんぐん引き込まれて、一気読みしました。作品のトーンは、薄暗い感じでした。現実感なく生きていると思う人は共感できる作品なのではないかと思います。作品や、主人公を好きになるかは別として、作者の方が力量があるのだなというのが、前半の物語自体はすすまない、もやもやとした箇所の描写で実感できました。

 しかも、途中泣きそうになりました。架空の物語で人を泣かせるのは相当技術がないと、どんな表現手段であっても難しいことだと思います。理由がある構成で、もやもやした前半でも読み進めることが止められないようなっており、カルタシスがくることは分かっているのですが、そのペース配分等、緻密に考えられた作品だと思いました。

 これもある理由で、3度読みはなくても、2度読みは必須。ちょっと不思議な雰囲気が私は好きではないのですが、それに関しても最初に説明されているという、全て計算済みというなんだか怖ろしい構成。少しだけマンガチックなのが気になりますが(ドラえもんに関してではなく、人物描写と作品構成が)それなりに、読み応えのある作品でした。そう、確かに物語設定などもあわせて考えると、少し少女漫画的です。