ミーナの行進 小川 洋子 中公文庫

私自身のとても私的な部分に関わるところで、読みながら衝撃が走った作品。
両親や祖父母、そして私自身も一時期住んでいた神戸の古き良き世界が、(実際に目にはしていないのに、語り継がれていた世界)そのまま目の前に拡がっていて本当に驚いた。その上に、清涼飲料水の工場が出てきた時点で、父がやはり清涼飲料水の会社に関わっていたため、これは、私達のことを書いたのか、と思ってしまうほど、プライベートにリンクした作品。

物語の雰囲気は、なんとなく死や破壊に向って進んでいるように見えるのに、最後にその物語に閉じ込められた世界から急に現実に飛翔するくだりで明るい希望を見出した作品。