忘れられた巨人 カズオ・イシグロ ハヤカワepi文庫

読むたびに孤独な感覚に胸が痛くなる、カズオ・イシグロさんの作品。自分自身が海外に移住し、子供が二つの祖国を持つようになってから、より一層国境や言語を超えて活躍される作家の方たちに興味を持つようになりました。私が興味を持った当初は、越境作家自体が注目を浴びていたわけではないのですが、いつの間にか沢山の方が越境作家として認知されるようになっています。その中でも、大御所の一人。

自分の子供達が将来、どのように故郷をとらえるのかと考えながら読むからか、どうしても、その底にある深い孤独を感じないわけにはいかず、読みながら複雑な気持ちになります。文章や、物語世界が素晴らしいのは言わずもがな。文化を超えて生きているからこそ、人類の作り上げた文明、文化に非常に洞察の深い作品が心に残ります。ノーベル文学賞を受賞された後に、この作品を読了。