現代アートビジネス 小山登美夫 アスキー新書

 

昔の本の再読。美術業界に興味があって読んだのですが、美術業界周辺、特に現代美術周辺の事柄が具体的に詳しく書いてある良書。奈良美智さんや、村上隆さんの展覧会の企画等をされたギャラリストの著者の来し方もわかり非常に面白いです。

欧州のアートメッセ等に足を運ぶこともあるので、展示側の話を聞くのも、今後ギャラリー巡りの参考になります。

一般的にうやむやになっていてわかりにくいこと(ビジネスの側面)をはっきり書かれておられるので、すっきりします。美術業界、美術品、アーティスト等を見る視点が変わるかも。

エマおばあちゃん 文 ウェンディ・ケッセルマン 絵 バーバラ・クーニー 徳間書店

娘に読んで、「一気に」に好きになった本です。おばあちゃんが、今まで秘めていいたクリエィテビティを炸裂させて、成功していく過程が、幸せへの過程とぴったりと重なっていいるところが、心から幸せな気分になる一冊。私自身が絵を描くのが好きだからかもしれませんが、特別な一冊になりました。絵そのものも素敵。自分の心に寄り添って、自分らしく生きていくことの偉大さを感じられる絵本。子供の人生もこのように花開いてほしい。

Matisse – Bonnard „Es lebe die Malerei!“

Matisse – Bonnard „Es lebe die Malerei!“

Bonnard を見に行った展覧会。眩いばかりの光に包まれて幸せな時間を過ごしました。この色彩感覚が本当に特別だと思います。部屋に飾れたらどんなに良いだろうと思いながら、2回展覧会に赴きました。

勿論、企画として同じ部屋やモチーフで創作をしていたマチスの作品との比較も非常に興味深く、比較することにより、それぞれの画家の特性がさらに際立つ展示になっていたと思います。

娘を連れて行きましたが、その色彩を少しでも記憶の奥底に残してくれていればいいなと思います。

Julian Schnabel: A Private Portrait (2017)

Julian Schnabel: A Private Portrait (2017)

http://daskinoprogramm.de/julian-schnabel-a-private-portrait/frankfurt-am-main/

昔からJulian Scnabelの作品が好きでしたが、映画を見てその人柄も好きになりました。絵画、サーフィン、時代、こんな人生もあるのだなと、ただただ驚嘆するばかり。

ご本人とは全く関係がありませんが、こういう時代を作る竜巻のような人に育てられた子供の内面世界も気になりました。

David Lynch: The Art Life (2016)  Jon Nguyen、Rick Barnes、 Olivia Neergaard-Holm

http://David Lynch: The Art Life (2016)

「ツイン・ピークス」等の監督で有名なデビット・リンチ監督のアートライフのドキュメンタリー映画。映画監督で有名な人だが、その作品も高く評価されている。その、アート一筋の生活をドキュメンタリーのカメラが迫る好作品。

映画を見るだけで、本当に必要に迫られて作品を作り続けているというのがひしひしと伝わってくる。また、その職人といっても良い手の動き、制作過程を見ていて、本物のアーティストだなと思いました。

とはいえ、こんなに才能も努力も時間も費やすなら、私なら他の作品を作りたい!と叫びたくなるほど、彼の作品表現はなんと言うか人間の暗部に迫る。実の父親が彼のアトリエを訪れた時に、「『子供はつくるな』と言われた。父には私の表現方法がわからなかった」と、笑う姿が印象的でした。(その直後に子供ができている。)親が子供のことを病んでいるのではないか、と思うほど差し迫った表現であると言うところが本当にすごいと思う。

実は、2007年にパリのカルティエ現代美術財団で開催されたデビット・リンチのドローイング等が展示されている展覧会を見に行ったことがあるのですが(もうそんな昔とは!ものすごく大盛況だったのです。)その時に、私は彼の実の父のようにすっかり騙されてというか、本当に病んでいる人かも、なんて思いながら作品をみていました。

今回の彼の実父に対するコメントをよんで、やっぱり本当に病んでいる人と、それを表現する人とは、近いようで、程遠い。また、表現をするということに対しての激しい自覚に驚愕しました。

ミケランジェロ等、本当のすごいアーティストのドローイング等を見ると、線一本をとっても、そこにどうしてもなければならないと言うような、逼迫した存在感を感じるのですが、デビット・リンチの作品も、なんだかそこに人が存在するような、絵ではない、すごい迫力を感じる作品で、好きではないですが、とてもショックを受けたのを覚えています。

ですので、今回の映画を見たときは、なんだかものすごい納得感がありました。毎日毎日ひたすら作り続けている、その年輪が刻まれている。何だか目をそらしたいけれど目をそらせないようなすごい存在感を発する作品が出来上がる過程を見るのがとても面白かった。

ご本人の声も、姿形も作品と同じようにものすごい存在感があるので、ドキュメンタリー自体が、もしくはそれに映写されている彼自体が、彼の映画みたいでした。

それにしても、こんなに才能と技術があったら、私ならば他のものを作りたい、、、と何度思ったことか。(そしてそんなののだときっと芸術は成立しないんだよね)久しぶりに人間の精神のほの暗い深い深い底を覗くような作品に出会いました。

為参考リンク http://www.hikarie8.com/artgallery/2012/04/post-1.shtml

https://www.fondationcartier.com/#/en/art-contemporain/55/publications/289/publications/160/david-lynch-works-on-paper-limited-edition/

 

使いきる。有元葉子の整理術 衣・食・住・体・頭 有元葉子 講談社

表紙の写真が好きで、何となく気に入っている本です。
日本の実家の母が、機会があるとこの手の本を送付してくれるのですが、有元葉子さんの本を見ると、ほんと、いつも心の中で「(きちんと生活できなくて)ごめんなさい」とつぶやいています。ただ、「こんなの実生活で、小さい子どもがいたら出来ないよ。」と思うのではなく、「こういう風に生活したいな」と前向きに思えます。良い刺激になるし、体裁も雑誌みたいで内容も軽いものだし、写真も好きなものなので、たまに見て、モチベーションをあげています、笑。まあ、自分自身で購入するかはわかりません。

私自身は決して若くない時分で結婚して子育てを始めたのですが、自分の生活力のなさに愕然としていて、いったい今まで何をしてきたのだろうと思っているので、有元葉子さんのこの美しい生活と、それを貫く精神力の強さに、あとお料理にこめる、日々の生活にこめる心に、自分もそうありたいな、と思います。

こういう生活のことが好きになれ、それが職業になるなんて、本当に生活と職業世界が分離しないし、生活のことは、どこにいても、何をしててもついてくるわけですし、自己矛盾なく生きていくことができて、単純に、またうらやましい。

スタジオとかお持ちですし、家もいくつかお持ちでいらっしゃるようですので、理想のスペースを作るのは、比較的やりやすいのではないかと想像しますが。一方で、現在生活しているドイツでのご家庭では、キッチンに殆どものがない状態をよく目の当たりにしますので、出来ないことでもないのだろうと思います。色々物があること、ものをどんどん新しく購入していくこと、消費すること、には、少なくとも私の世代では随分ならされてしまっているよなと、思います。

話がずれますが、私は有元葉子さんのファンとかではないので、全てのご著書を拝見しているわけではないのですが、この「使いきる」というまとめ方は、流行の断捨離やミニマリストの流行にのったつくりなのでしょうか。それとももともとのスタイルが、昨今の流れにマッチするがゆえに産まれた企画なのでしょうか。ご著書の中では、断捨離の考えとはまた少し違う、と書いてありましたが、やはり多かれ少なかれ似たものを感じます。色々ミニマリストの方や、いわゆる断捨離の本やブログを読むのも大好きなので、いつか、本当に必要なものだけに囲まれる生活をしたいと思っているので、私個人では、良いと思えた本でした。