チリとチリリ どいかや アリス館

 チリとチリリ。ちょっと少女趣味ではありますが、可愛らしい絵本。何より、作者の方が、きっと絵を描くのが本当に好きなんだろうなということが伝わってくる作品でした。最近私自身のテーマである、長く読み継がれるよい絵本という範疇に入るか微妙なところなのですが、作品世界があるという意味では、楽しく読める絵本でした。自分でもうまく表現できないのですが、その長く読み継がれるよい絵本という境い目はどこにあるのだろう、、、探索中なのです。
 なんというか、サンリオのキャラクターと、物語との違い、どちらが偉い、偉くないということではないのですが、やはり、絵本という主に子供を対象にして書かれているお話であっても、人間性の深さやなにか本質を突くものが含まれているからこそ、長い間読み継がれていくのではないかと思うので、魂が絵に宿るのか、物語に宿るのか、わかりませんが、物語の中の登場人物があたかも本当に生きていると感じられるかどうか、それが現実とは違う想像の世界であっても、リアルと物語のはざまで生きていると感じられるものかどうか、というのが違いになってくるのかなと、考えているところなのです。

 なので、この作品は作者の思いも伝わってきてとても好きなのですが、そういう意味で、イラストの中の世界なのか、絵本なのか、ということを微妙に考えてしまう作品でした。

ルリユールおじさん いせひでこ 講談社出版 文化賞絵本賞

中味を全く知らずに読み始めたのですが、子供達以前に私自身が、心のそこから魅惑されてしまった絵本でした。絵もパリらしい絵で、小さな少女とおじいさんのすばらしい友情を感じられる作品です。

本やそれが取り巻く世界への深い尊敬があるので、この本を読み進めるうちに感動して心が震えました。そんな、時間と空間を丁寧に重ねたような作品が、個人的に思い入れのあるパリの風景の中で広がって、大事な一冊となりました。

本好きの方には、お勧めの絵本です。