使いきる。有元葉子の整理術 衣・食・住・体・頭 有元葉子 講談社

表紙の写真が好きで、何となく気に入っている本です。
日本の実家の母が、機会があるとこの手の本を送付してくれるのですが、有元葉子さんの本を見ると、ほんと、いつも心の中で「(きちんと生活できなくて)ごめんなさい」とつぶやいています。ただ、「こんなの実生活で、小さい子どもがいたら出来ないよ。」と思うのではなく、「こういう風に生活したいな」と前向きに思えます。良い刺激になるし、体裁も雑誌みたいで内容も軽いものだし、写真も好きなものなので、たまに見て、モチベーションをあげています、笑。まあ、自分自身で購入するかはわかりません。

私自身は決して若くない時分で結婚して子育てを始めたのですが、自分の生活力のなさに愕然としていて、いったい今まで何をしてきたのだろうと思っているので、有元葉子さんのこの美しい生活と、それを貫く精神力の強さに、あとお料理にこめる、日々の生活にこめる心に、自分もそうありたいな、と思います。

こういう生活のことが好きになれ、それが職業になるなんて、本当に生活と職業世界が分離しないし、生活のことは、どこにいても、何をしててもついてくるわけですし、自己矛盾なく生きていくことができて、単純に、またうらやましい。

スタジオとかお持ちですし、家もいくつかお持ちでいらっしゃるようですので、理想のスペースを作るのは、比較的やりやすいのではないかと想像しますが。一方で、現在生活しているドイツでのご家庭では、キッチンに殆どものがない状態をよく目の当たりにしますので、出来ないことでもないのだろうと思います。色々物があること、ものをどんどん新しく購入していくこと、消費すること、には、少なくとも私の世代では随分ならされてしまっているよなと、思います。

話がずれますが、私は有元葉子さんのファンとかではないので、全てのご著書を拝見しているわけではないのですが、この「使いきる」というまとめ方は、流行の断捨離やミニマリストの流行にのったつくりなのでしょうか。それとももともとのスタイルが、昨今の流れにマッチするがゆえに産まれた企画なのでしょうか。ご著書の中では、断捨離の考えとはまた少し違う、と書いてありましたが、やはり多かれ少なかれ似たものを感じます。色々ミニマリストの方や、いわゆる断捨離の本やブログを読むのも大好きなので、いつか、本当に必要なものだけに囲まれる生活をしたいと思っているので、私個人では、良いと思えた本でした。

UDO LINDENBERG SAP Arena Mannheim Germany

 コンサートに行きました。71歳のドイツのロック歌手。東ドイツで初めてコンサートをした人。歴史を負っているからか、ドイツではとても人気がある、というか伝説の歌手。

 とにかく、サービス精神旺盛なコンサートでした。お客さんを喜ばせたいという気持ちが嫌というほど伝わるので、アメリカのポップシンガーのような大仕掛けがなくても、盛り上がりました。(いやいや、仕掛けも結構あったのだけれども。)

 さすがに高齢で、パフォーマンスに限界がありましたが、その存在感は抜群で、若い歌手を交えて大きな楽団的にコンサートを構成して隙のない、でもとても人間的なコンサートで幸せな気分になりました。政治的、というか昨今の世情に苦言を申しても、過去の実績があるので、まあ納得という感じかな。
 一緒に歌った、若い人の歌唱力はすごくって盛り上がるけれど、やはり、本人が歌うと観客の雰囲気がまた全く変わる。何よりも、一緒に盛り上げている歌手や音楽家達は、皆ウドを尊敬しているんだなということが伝わり、とても良かった。

 客層は、過去出むいたコンサートのどれよりも高齢でしたが、子供の姿や家族連れもあり、なんだか昔を思い出して盛り上がっているのではないかという人も沢山いる。時の流れを感じるコンサートでした。ちょっとある意味物悲しくなってしまったりして、、、。

RABAUKEN & TROMPETEN Reise in der Zeit ALTE OPER FRANKFURT

 フランクフルトの子供向けのコンサート。チケット発売後即完売という人気イベント。
 実は、もっとがんがん音楽が聴けるかなと期待したいたので、お話を交えたスローなペースの展開に、チケットを取った労力と引き換えとしてはまあまあかなと思ったのですが、3回見た中では、今回が一番面白く感じました。まだ幼児を対象としたコンサートなので、仕方がないのかな。と、色々もやもや考えた次第。子供のコンサートだからといって、子供のレベルに音楽を落とさなくてもいいのではないかと思うのですが、どうなのだろうか。まじかで、動いたり、多少声を出しても大丈夫な環境で親子で安心して音楽を聴く、というスタンスのコンサートにも行きたいな、と少し思った次第でした。

図解 ミスが少ない人は必ずやっている[書類・手帳・ノート]の整理術 小西七重、池田秀之 サンクチュアリ出版

 この本大好き、笑。イラストと、内容のまとめ方のデザインに拠るところが大きい。整理術の本だけだって、入っている情報はとてもわかりやすく、しかも懇切丁寧にまとめてある。何でこんなにわかりやすいんだろう。

 既知の基本動作ばかり、と思う人もいるかもしれないけれど、意外にその内容を噛み砕いて考えることはないし、逆に、なんとなくもやもやっと出来上がったオフィススタイルを、細部まで自覚的に行えるようになるには、非常に良い本だと思う。新人の人は、とりあえず、そのまま全部真似すればいいんじゃないか?

 「書類」「手帳」「ノート」の整理術の3部門に分かれているけれど、基本的に「書類」「手帳」の整理術はある程度自分のやり方を確立している部分もあるので良いところ取りをするとして、個人的には、「ノート」の整理術の部分がとても好きであった。
 
 ノートをつけ続けることに意義があるのか不安になって書き続けるのをやめた時期があったので、あーこのノート術を読んでいたら、当時の自分が、いかにノートをとり続けることが大切か理解できたかもしれないな、、、と思いながら読了。

 書き続けることによって、論理的にもアイディアも仕事術も怖いぐらいにどんどん展開していくことができること、それをずっと続けたらすごい蓄積になっていただろうということが、今となっては、ひしひしと、嫌と言うほどわかるので、もし若い人がこの本を読んだとしたら、是非騙されたと思って、このノート術を使って欲しいなと思う。

 ノートは2冊で、とかハイテク機会に頼り過ぎない、とか一般の整理術にありがちな、分類しすぎてわけがわからなくなるような愚かな感じではなく、合理的で、眺めているとモチベーションが(私の場合は、見ていると楽しくなってきて)揚がるので、これからもたまに手にとっって眺めてみようと思いました。
 

NLPで最高の能力が目覚める コーチングハンドブック 知識と経験を最大化するセンスの磨き方 山崎啓文 日本能率協会マネジメントセンター

良書。日頃抱えている私個人の問題(人生の重要な段階で同じ失敗を何度も繰り返す。頭で理解してもそれを変更することができない。)の要因を、クリアに理解することが出来、すっきりした本。

コーチングをする人になりたい訳ではないので、そのあたりの技術に関しては、さっと読見進めていますが、自分の能力を発揮していくやり方に関しては、極めて分かりやすく、本当の意味で理解できるように、何度も何度も言葉や例を費やして記載しているので、腑に落ちました。この知識が必要な人には、非常に良い本だと思いました。

Tschechischer Philharmonischer Chor & Philharmonie Brünn / Leoš Svárovský

 これは大当たり。
 80年ぶりにフランクフルトのオペラ座で初めて演奏されたCarma Buranaが、再演されたコンサート。素晴らしいの一言でした。
指揮者の方も始めて拝見したのですが、どんな音楽が作りたいのか、明確にわかり、それにオーケストラもコーラスもばっちりとついていって、音楽も素晴らしいですが、なんと表現すればよいのか、エンターテイメント性が高く、どんな人でも色々な角度から楽しめそうで、完成度の高いコンサートでした。曲の選択もやはり、観客に喜ばれそうなものを目玉のCarma Buranaに当ててきており、構成もまとまっており、拍手が本当に長く続きました。ラテン語や、古代ドイツ語の歌詞などのつく、この歌曲の成り立ちも個人的には、面白かった。クラッシックのコンサートで、心に偽りもなく良かった!と思ったのは久しぶりでした。

Tschechischer Philharmonischer Chor & Philharmonie Brünn
Leoš Svárovský

曲目
Alexander Borodin (1833-1887)
“Poloqwtywe Tänz” aus “Fürst Igor (12`)

Antonín Dvořák (1841-1904)
Slawische Tänze op. 46 und 72

Carl Orff (1895-1982)
Carmina Burana (65`)
Fortuna Imperatrix Mundi
Primo vere
Uf dem Anger
In taberna
Cour dàmours
Blaziflor et Helena
Fortuna Imperatrix Mundi

チム、ジンジャーをたすける エドワード・アーディゾーニ 福音館書店

ここのところ(親が)気に入って、何冊かシリーズで読んでいる本。親が気に入って読んでいますが、子供たちも、すぐチムの名前を覚えて、同じシリーズの他の本を読んだときは、3歳児も、「これ、チムね」と自分の友人の様に話の中に入っていきました。海の厳しい自然の中で、子供用の絵本にしては少しリアルな現実がかかれていて、少年の心の持ちようが、人間らしい強さにフォーカスされているのがなんともいえない。勉強とか、これを習えば子供の将来に役に立つといった情報も氾濫しているが、人として一本筋が通っていて、大人とも1対1の人間同士で付き合っていくチムの姿が新鮮。

空飛ぶタイヤ 上下合本版 池井戸潤 講談社

とにかく長かった。面白かったけれども。きっと同じ作者の作品を3連続で読んだのが悪かったのだろう。最後はこういう展開になるというのを分かっていて、最後までじりじりしながら読むという展開でした。前回に2作品よりも、作者の凄さがよくわかる作品だったと思う。話の構成とかもだけれども、現実で起こりえそうな事態を、事細かに目に浮かぶように書き上げるその力量がものすごいということが、(前回の2冊の本の感想で、ネタがごろごろあるのをそのまま書いているみたいで、という話を書いていたが)この細部まで物語を立ち上げられる筆力が尋常ではないということがよく証明される作品でした。現実もそういうことあるよな、と思いながら読むから面白いのだけれども、その分、長く感じたのだろう。主人公の明けるともわからない暗闇を共に歩くような感じで悪くはないのだが。

半分以上、溜めて溜めて書き続けて、最後に予想通りの展開で物語切り替わってゆくところが面白いのではあるのだけれども、個人的には、被害者の夫との交流とか、もう少し読みたかったなと思う。後、一人だけ沢田の人物描写だけは少し物語りに合わせる様に都合よく書かれているような気がして物足りなかった。きっとサラリーマンの組織の論理での苦悩とか、自分の夢を叶える為の組織内での取引とか書きたかったのだと思うけれど、栄転先で起こる事態を想像できないような人物ではないだろう、と読みながら悪態?をついてしまいました。沢田のキャラクターであれば、必ずその先の事態を想定できたはず、と思うのだが、急に純情なお兄さんみたいになってしまって、びっくりしてしまいました。

新装版 銀行総務特命 池井戸潤 講談社

池井戸作品、三作品を続けて読んでいる。その第2弾。先の「新装版 不祥事」と比較すると、内容が重い、暗い、救いがない。最初は軽い話から始まって、段々出口のないリアルな嫌な話が詰まっているという感じ。自分が銀行に勤めていたからかも知れないが、最初は面白く、いや、最後まで面白く読みはしたが、読んでいて居た堪れなくなるような気分で、読後感が悪かった。お話として読めれば面白いのだろうけれど、以外にリアル。なので、いつも池井戸作品を読んでいて、これ作品にしていいのかな。これで売れていいのかな。と少し思ってしまう気持ちが、この作品では更に強くなった。作品を書くのは簡単なことではないのは勿論理解しているつもりだけれども、話の殆どの骨格が、ほぼ現実に転がっているリアルだとすると、それをネタにしていいのかな、と少し思ってしまう、、、。きっと銀行員だったら誰もが経験しているような話とか、聞いたような話とかばかりなのだと思う。リアルがこうならば、わざわざ話を読んで暗くなる必要はないかも。

新装版 不祥事 池井戸潤 講談社

 池井戸作品は面白い。多分それは銀行で起こる現実が面白いからだ。銀行に勤めた人ならば、そこで目にしたことをそのまま作品にしたのではないかと思う。フィクションだから守秘義務があっても事実は書いていないし、でもネタは現実に転がっているという感じ。池井戸作品は、現実を再現する力がすごくて、話の構成が面白いのだと思う。

 現実のネタをフィクションとして使い、そこに物語として、出世競争や、理想と現実、人間性と金銭が絡む非道さとか、色々面白い味付けがされて作品が出来上がってきている。物語のつくりがそのオリジナルのアイディアの部分のままという感じの部分もある。市井の人は正直でまっすぐで、銀行員やエリートは偉そうにしているけれど、人間性がないという構図が多いのが気になる。なんとなく粗いといったイメージもあるが、面白く読めた。不祥事の話だから興味本位で、まだ銀行ネタでも、酷く内容が重くないから気楽に読めた。