騎士団長殺し 第一部 顕れるイデア編 / 第2部 遷ろうメタファー編 村上春樹 新潮社

ハルキストではないのですが、村上春樹さんの作品は、目に止まると読むということを続けています。私の中では、「村上春樹さん=物語の力」。そして、同じような物語世界の繰り返しと批判されることもある。ということ。いつも読み始めて半分ぐらいは夢中になって読むのですが、後半はいつも、自分とは違う世界だなと思い、最後まで何とか読み終えるということを繰り返しています。

「騎士団長殺し」は、特に絵画の勉強をしていたこともあって、前半はとても面白く読み進めました。また、作家が創造する過程が、絵画の制作に反映しているようで、とても興味深く読みました。フィクションなので、村上春樹さん自身の創造の過程はこのような道筋をたどるのかなと、想像してみるのも楽しかったです。

村上作品では、昔でいうところの少し洒落た雰囲気の中で、邪悪なものも取り込まれながら話が進んで行き、その表現力も驚嘆するべきものですが、いわゆる一般的な文学とは違う雰囲気を纏っているなといつも思って読了してしまいます。少し、文学というより、ファンタジー文学のような、、、。

しかしながら、今回の作品は、今までの作品よりも随分とご自身のプライベートな部分も表現に入っていたのではないかと思い、今までの作品との違いを少し感じました。むしろ今後「物語」ということを考えずに作られた作品が読めると面白いのにと希望する次第です。

思えば時代も随分変わり、当時の村上春樹フィーバーのようには作品を読めなくなっているかも。