「中年だって生きている」 酒井順子 集英社 

 途中で読了をほぼ諦めかけました。気鋭のエッセイストの中年(女性)の心模様のエッセイ。バブル世代の方達が(主に女性)の社会的あり方を考えてくれるので、その下の世代の女性は生きやすくなるという構図。ちやほやされなくなって驚く、とか老化に驚くとか、中年といわれる世代の心模様など、今までだったら公に口にされなかった話を書いてくれているので、心が軽くなる女性がたくさんいるはずとは思うのですが、そこまでした公にしなくても、という内容もあり。

 しかし心のひだの拾い方は、流石に手練れのエッセイストの方なので、唸るぐらいこまやかではあります。個人的には、昔の古典とかと照らし合わせながら状況を検討しているところが良かった。なんだか中年の悲哀にも普遍性あり。
 
 それにしても、ここ何十年の社会の変化は本当に大きかったのだなと思います。その時代の流れで、得した人がいたり、損した人がいたり、得したと思っていたのにこんなはずではなかったと最後に損をしたり、どの時代のどの国に生まれるかというのは選べないだけに、こういった社会学的な視点が入った書物は面白いのかも。