「マノンの肉体」辻原登 講談社


読み始めてから、「久しぶりに文学作品を読んだ」とはっとしました。最近実用本や、インターネットサイトばかり見ていて、純然なる文学作品を読んでいなかったので、その文章の格調と、面白さに少しびっくりしてしまいました。最近の若い作家の方とも違う風格のある面白さ。今文学作品と呼ばれているものと何が違うのだろうかと考えながら作品を読みました。

きっと映画やドラマの影響、またエンターテイメントと純文学との境い目がうやむやになる中、今の作品はプロットを重視する作品が多く、文章が全く違うのではないかというのが、今のところの個人的な感想です。

収録されている作品では、個人的には「マノンの肉体」が心に残りました。ふとしたことから始まる話がいつのまにか、文章の意外な連なりによって、転がり、最後にあっという幕切れになる構成が、素晴らしかった。題材に使われている作品も鑑賞したくなる、手練れの作品。

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